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脳卒中患者の肺炎予防に関するreview(introduction) Dysphagia 2001
嚥下障害や誤嚥を正しく診断するのは難しく,発生率,罹患率を正確に推定するのは難しいが,推定では 年間300,000~600,000人が神経疾患により嚥下障害を来たし,脳卒中以外の原因によるものは約51,000人. 脳卒中後に嚥下障害を有する患者の43~54%が誤嚥,約37%が肺炎を生じ,3.8%は死亡する. 脳卒中の急性期治療中の患者の48%に栄養障害が生じる. 嚥下障害の診断・評価法,治療→診断・治療の手順や胃瘻造設の適応に関しては決まったものがない
【目的】異なる施設条件で嚥下障害の介入の効果を,介入法ごとに検討する.
【方法】神経症状による口腔・咽頭に由来する嚥下障害に関する文献を広く渉猟した.癌や手術によるものは対象としなかった.1808の記事があり,臨床研究1467,総説183,WWWサイト9,未発行記事32,個人的見解28.
【検索結果】・多くの研究は大多数と思われる高齢者の嚥下障害よりも脳卒中患者を対象としている.・脳卒中患者のタイプや重症度で分類している研究はほとんどない.・嚥下障害のQOLへの影響に関する研究もほとんどない.栄養障害や脱水に言及した研究もない. ・急性期の栄養や脱水は嚥下障害の文脈で研究されることは少ない.→脳卒中患者の肺炎の予防を第一のoutcomeとした.
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本来,高齢者の肺炎の診断と治療について全般的なreviewをまとめようという意図で始められた研究のようで,オンライン検索できない古い年代の文献や医学雑誌以外の媒体(ウェブサイトなど)までも対象としたreviewは珍しい.結果として1800件以上の記事が見つかったようだが,そのまとめだけでもなかなか参考になる.要するに,嚥下障害のことはあまりよくわかってないということがわかるということなのだが.
嚥下障害というのは少々複雑な病態である.原因は脳だったり,神経だったり,頚部の疾患だったりとさまざまだが,症状としてはノドの機能障害として表れ,最終的には肺炎や栄養障害に至る.原因と症状と結果が別々な形で現れるため,従来的な臓器別の専門のわけ方では嚥下障害全体を診療できる科が存在しないのだ.リハ科も嚥下障害を積極的に診るようになってきているが,リハに関わる医療者の意識は嚥下機能としての嚥下障害に向きがちな傾向があり,総合的な診療にはなかなか至らないようである.QOLや栄養障害などをoutcomeとした研究が少ないのは,そういう現場の未成熟さを端的にあらわしていると思われる.

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